高校数学 単元解説
高校数学は、大きく「代数・解析分野=計算系」、「幾何分野=図形」、「確率統計分野」「数の分類」「論理」「数列」の6ジャンルに分けられるので、それぞれについて説明していきます。
※難易度は、学習内容の抽象度、必要となる前提知識、つまずきやすさなどを踏まえたAstra独自の目安です。実際の得意・不得意には個人差があります。
[Ⅰ]代数・解析分野
1. 多項式の展開/因数分解 数Ⅰ 難易度★★
高校に入学して最初に習う単元で、中学数学と陸続きになっています。ここでは、2次の係数が1でない2次式の因数分解「たすき掛け」と、特殊な3次式の因数分解を新たに学びます。
力づくでも何とかなる展開の方はともかく、因数分解の方はかなり試行錯誤が必要で、慣れるまでは苦労するかもしれません。数Ⅱで習う「因数定理」を知っていると、見え方が大分変ってくるはずです。
2. 分母の有理化・二重根号 数Ⅰ 難易度★★★
中学でもごく簡単なケースは出てきましたが、分母が少し複雑になったパターンの有理化を学びます。こちらの方は、和と差の積の計算が理解できていればさほど難しくありません。
一方、ルートが入れ子状に入った「二重根号」を外す作業は、中学校で習った「2乗の因数分解」をしっかり理解していないとかなり難しいと思います。
3. 絶対値 数Ⅰ 難易度★★
絶対値という概念そのものは中学でも出てきたかもしれませんが、それを記号付きで本格的に学びます。中身がプラスかマイナスかを判断して外し方を適切に使い分ける、この扱い方は高校数学の最後までずっと使っていくので、必ずマスターするようにしましょう。
4. 1次不等式 数Ⅰ 難易度★★
中学校までは「方程式を解く」しかありませんでしたが、ここで初めて「不等式を解く」ことを学びます。
方程式を解く作業とほとんどは似ていますが、不等号の向きに注意すること、共通範囲をしっかり調べることなど、不等式特有のポイントがあることに注意です。
5. 2次関数 数Ⅰ 難易度★★★★★
中学校で習ったものから拡張して、1次の項や定数項まで含んだ一般的な2次関数について学びます。この単元は、数Iの最大の難所であり、高校数学で最初に直面する試練です。
グラフの平行移動での式の変化の仕方(特に符号)に苦戦することからスタートし、2次式の平方完成、変域の把握、など、ここからが「高校数学の本番」と言わんばかりの難所だらけです。そして、この単元には以後学ぶ「関数」のエッセンスが全て凝縮されていると言って過言ではなく、ここで躓いてしまうと、以後の数学はすべて詰んでしまうと断言してよいです。
この単元だけは、どんなに時間をかけてもいいので、必ずマスターするようにしましょう。
6.2次方程式/2次不等式 数Ⅰ 難易度★★★★
2次関数のグラフをベースにして、2次方程式の解がいくつあるか、どこの範囲に存在するか、などを調べていきます。中学時点では丸暗記だっただろう「解の公式」の意味がここではっきりと分かるようになります。この単元で学んだノウハウが後続の単元で何度も登場することになります。
7.2項定理 数A 難易度★★
「場合の数」で登場した「組み合わせ」を応用して、式を展開する方法を学びます。この2項定理が、後ほど「微分」で大いに生きてくることになります。
8. 恒等式 数Ⅱ 難易度★★★
恒等式とは、「xにどんな数を入れても必ずイコールが成り立つ」式のことです。方程式との意味の違い、考え方の違いをしっかりと意識して取り組んでいく必要があります。
9. 多項式の割り算 数Ⅱ 難易度★★
今まであまり登場してこなかった、式の割り算の「商」と「余り」について学びます。直後に学ぶ「因数定理」の基礎となります。
10. 因数定理/高次方程式 数Ⅱ 難易度★★
数Ⅰ時点では試行錯誤が必要で苦戦しがちだった因数分解を、少しでも楽にするテクニックの一つです。式の持つとある性質から、因数分解したときに出てくるはずの因数の1つを確実に見つけられる、というのがこの定理の趣旨です。この定理を使うことで、3次以上の方程式にもある程度立ち向かうことができるようになります。
11. 等式・不等式の証明 数Ⅱ 難易度★★
必ず成り立つ関係式を証明するお作法を学ぶのがこの単元です。ここで、「三角不等式」や「相加相乗平均の関係」といった有名な不等式が多数登場します。
12. 三角関数 数Ⅱ 難易度★★★★★
ここからしばらく、多項式以外の特殊な関数の数々を学んでいきます。
その第1弾がこの三角関数で、数Ⅰで習った「三角比」を一般化した関数です。この単元こそが数Ⅱ最大の難所です。
難しさの要因はいくつかあるのですが、1つ目は周期関数なので何周分といった要素まで加味しなければならない点、2つ目は加法定理を始めとした直感的でない公式が多数登場すること、3つ目は唐突に登場する角度の単位ラジアン(弧度法といいます)の存在です。
きっちり単位円の考え方を馴染ませることが大事であり、公式についてはほぼ全て「加法定理」の式から派生したものなので「加法定理」をしっかり理解して他の式を導出できるようになることが目標です。
ラジアンは数Ⅱ時点ではどんなご利益があるかさっぱり分からないと思いますが、数Ⅲで三角関数の微分を学ぶと、むしろ角度は今までの「度」よりもラジアンの方が自然に思えるようになってきますので一旦我慢して下さい。
物理で登場する「円運動」や「単振動」、「波」の理解に、ここで学ぶ三角関数の知見が欠かせないので、是非マスターできるようにしましょう。
13. 指数関数・対数関数 数Ⅱ 難易度★★★
特殊な関数の第2弾が、指数関数と対数関数となります。三角関数に比べれば習得難易度はかなり下の方になりますが、特に対数の計算方法はしっかり押さえておきましょう。
対数のご利益は巨大な数を小さい数に収めて計算しやすくすることであり、整数の桁数を調べることなどの応用が登場します。また、化学で登場する「pH」は、水素イオン濃度の常用対数で定義されるので、その意味でも重要です。
14. 極限 数Ⅱ 難易度★★
ここからいよいよ数学の花形、微分積分の分野です。その基礎となる「極限」について初めて学びます。「限りなくある数に近づける」「無限大に飛ばす」というのが極限なのですが、数Ⅱ時点では前者のみ登場し、数式にただ数字を代入するだけの要素が正直強いので、退屈かもしれませんね。本番は数Ⅲから、といったところです。
15. 多項式の微分 数Ⅱ 難易度★★★
グラフがあった時の「その瞬間の傾き」が微分です。ここでは、なんと中学の「1次関数」以来長らく登場していなかった「変化の割合」が本質的な役割を果たしていくという、熱い伏線回収が行われます。そして、多項式の微分の式の導出に使われるのが、先述の「2項定理」となります。
16. 3次関数の増減 数Ⅱ 難易度★★★
微分が「瞬間の傾き」であることを活かすと、関数の増減が調べられるというお話です。数Ⅱでは主に3次関数のグラフについて学んでいきます。数Ⅲ以降ではお馴染みとなる、「極値を調べる」「増減表を書く」といった営みはここで初登場です。また、ある点での接線の式はどうなるか?ある点から引っ張った接線の式はどうなるか?といった話題も登場します。
17. 多項式の不定積分/定積分 数Ⅱ 難易度★★★★
続いて微分の逆の計算となる「積分」について学びます。微分の計算をベースにして、そこから逆算するというのが積分の基本ですが、「積分定数」という任意の定数が登場するという積分ならではの注意点があり、定積分の計算は、特に数Ⅱ範囲の多項式の積分だとかなり煩雑になってしまうのが難点です。
積分は、曲線が囲む面積と関連しており、積分を利用することで曲線が絡んだ図形についても面積を計算できるという大きなご利益があります。
この単元まで学ぶことで、物理の「等加速度直線運動」の式がなぜあの形になるかがより深く理解できるようになります。
18. 分数関数/無理関数 数Ⅲ 難易度★
ここで、一旦閑話休題で、特殊な関数の紹介に戻り、分数関数と無理関数を扱います。分数関数の方は、中1で習った「反比例」の発展形、無理関数はルートや3乗根などが絡んだ関数となります。ここまでの難所を乗り越えた生徒さんなら特に問題なくクリアできるはずです。
19. 極限 数Ⅲ 難易度★★★
数Ⅱで扱わなかった「無限大に飛ばす」も含めて、極限をより深く学んでいきます。∞-∞、0/0, ∞/∞など、単なる代入では対処できないパターンが多く登場し、各個撃破していく必要があります。教科書レベルまでであれば十分に対処可能ですが、入試問題ではある意味いくらでも難しくできてしまうという恐ろしい単元だったりします。
また、ここで数Ⅱで唐突に登場した「ラジアン」のご利益が実感を以て理解できるようになります。
そして、ここで円周率のπと同じくらい重要な定数、ネイピア数eが初登場します。ネイピア数は、微積分の分野では必要不可欠であり、実は統計で登場する「正規分布」の式にも現れてきます。
20. 様々な関数の微分 数Ⅲ 難易度★★★
ここまで習ってきた特殊な関数(三角関数、指数関数、対数関数、分数関数、無理関数)の微分を学ぶことになります。普遍的な微分のテクニックとして、「積の微分」「商の微分」「合成関数の微分」も習い、これら3つは文系の生徒さんも知っておいて損はないと感じます。
また、物理の「円運動」「単振動」の公式の理解には三角関数の微分の知識が大いに助けとなりますし、「交流回路」に至っては、この知識なしでは太刀打ち不可能といってもよいです。
21. 様々な関数の増減・凹凸 数Ⅲ 難易度★★★
本質的には数Ⅱで学んだ3次関数の増減とやることは同じですが、2階微分することによってグラフの凹凸の情報まで調べられるようになるというのが新規のポイントです。
より増減表の作成が複雑なものになっていくので、焦らずマスターしていきましょう。
22. 平均値の定理 数Ⅲ 難易度★★★★
正直言って、教科書段階ではイマイチ使いどころが分かりにくい定理です。しかし、難関大の入試問題では、証明問題などの要所でいぶし銀の活躍をしてくれる定理です。大学数学に片足突っ込んだ定理ですし、これが理解できなくても先へは進めるので、最初からあまり無理して習得しようと思わなくて大丈夫です。
23. 様々な関数の積分 数Ⅲ 難易度★★★★★★
高校数学の総決算、ラスボスと称して差し支えないでしょう。最終的には微分の逆の演算になるのですが、その途中で「置換積分」や「部分積分」といった積分の中身を簡単にしていくテクニックを多数使っていきます。そのテクニックの数々は、「今までの勉強はこの積分のためにやってきたんだ」と思わされるほどにこれまで習った全ての知識を総動員するので、難しくもある一方、非常に感動的です。
24. 区分求積法 数Ⅲ 難易度★★★★
残りは積分の応用の話題が続きます。1つ目は、積分を使って極限を計算する「区分求積法」です。
そもそも積分とは「面積」のことであり、その考え方をベースにしています。基本形から少しでもずらされると大混乱しがちで難しいです。
25. 曲線の長さ・曲線の囲む面積・立体の体積 数Ⅲ 難易度★★★
続いて、図形の計量です。曲線の長さや面積、そして立体の体積を、積分を使って調べていきます。ここに至ってようやく、中学の時からの疑問「錐体の体積はなぜ柱体の1/3倍なのか?」「何故球の体積や表面積があんな公式なのか?」が伏線回収されます。
[Ⅱ]幾何分野
1.メネラウスの定理・チェバの定理・方べきの定理 数A 難易度★★
この単元と次の「五心」は、「初等幾何」と呼ばれるカテゴリの図形問題で、中学の図形問題の完全なる延長上にあります。初等幾何の問題は中学の図形問題同様センスとひらめきが必要なことが多く、共通テスト以外の入試では出題されにくいジャンルです。
メネラウスの定理、チェバの定理、方べきの定理は、いずれも「相似」から派生した線分の長さの比に関する定理で、一度理解してしまえばさほど難しくはありません。ただ、メネラウスの定理はどの線分の話かを把握することが難しいかもしれません。
2. 三角形の五心 数A 難易度★★
三角形には5種類の中心点(重心、外心、内心、垂心、傍心)があり、高校ではこのうち傍心以外の4つについて学びます。三角形の色々な3直線が1点で交わる事実に、図形の神秘を強く感じること間違いなしです。
ここより後の単元は全て「図形問題を『初等幾何を使わずとも機械的に解いていく方法』を様々な角度から学ぶ」という位置づけになります。
3. 三角比の定義 数Ⅰ 難易度★★★
サイン・コサイン・タンジェントがここで登場します。これら「三角比」は、三平方の定理をベースにして、「直角三角形の直角以外の角度が決まれば、辺の長さの比が分かる」という考え方に基づいています。
数学でこの単元に到達する前に、物理の「斜面上の運動」の方で先に三角比に出会うという生徒さんも少なくないと思います。どの辺同士の比がサインなのか、コサインなのか、タンジェントなのか、に慣れるまでに時間がかかりますが、是非マスターしたいです。
4. 正弦定理・余弦定理・三角形の面積 数Ⅰ 難易度★★★
三角比を用いて、色々な線分の長さをお気軽に調べられるようになります。定理の内容は然ることながら、状況に応じて正弦定理と余弦定理のどちらを使うべきかの見極めに慣れが必要です。
5. 線分の内分点/外分点 数Ⅱ 難易度★★
ここからは、方程式を利用して図形問題を解いていく「代数幾何」というジャンルとなります。
最初に登場するのがこの「内分点と外分点の座標を計算する」という単元ですが、公式はこの時点だと複雑で覚えにくいです。この公式は、後ほど「ベクトル」を学ぶことでスッキリと頭に入るようになってくるはずです。
6. 直線の方程式・円の方程式 数Ⅱ 難易度★★
中学校で散々擦った「1次関数の式」を一般化させた「直線の式」、そして、円の式もこの単元で学びます。円の方程式は、中学校で学んだ「点と点との距離の計算」を理解していれば当たり前に思えてくるはずです。
7. 点と直線の距離、円と直線の位置関係 数Ⅱ 難易度★★★★
円と直線にまつわる様々な小ネタを学習していきます。それぞれ複雑な公式が多数登場し最初は混乱してしまうに違いありません。
この単元で大事なのは、公式を無闇に覚えようとする前に、まずは自分で愚直に計算してみようというチャレンジ精神です。一度愚直にやってみることで、公式の言っていることの意味が分かり、その有難みも身に染みて理解できるようになるはずです。
8. 点の軌跡 数Ⅱ 難易度★★★★
とある条件を満たした点がどのような軌跡を描くかを調べる単元です。教科書の説明だと、何だかキツネにつままれたようなモヤモヤを感じるでしょう。よくわかんないけど、なんか軌跡が求まっちゃった、という感覚です。Astraでは、そのあたりの違和感が少しでも解消するように解説していきます。
この単元の知識によって、例えばどうしてボールの軌道が放物線を描くのか、という疑問が解消されるようになります。
9. 不等式の表す領域 数Ⅱ 難易度★★★★
グラフの世界では、方程式は曲線を表現することができましたが、不等式は領域を表現することができます。この単元では、この不等式と領域との関係性について学んでいきます。
この知識を応用すると、「ある条件を満たした図形が通過していく領域がどうなるか?」といった問題や、「とある条件の下で、ある関数を最大化・最小化するにはどうすればいいか?」といった問題にまで対処できるようになります。特に後者は「線形計画法」と呼ばれ、実務の世界でも使われています。
10. ベクトルの和・差 数C 難易度★★
ここからは「ベクトル」のお話です。
ベクトルとは、大きさと向きの両方をもった量のことで、物理で登場した「力」、「速度」、「加速度」などがベクトルの例です。この例からも分かる通り、物理と非常に密接な単元となります。また、数学の世界でも図形問題、特に空間図形の問題で大きな威力を発揮します。
最初に習う「和と差」ですが、これは実は知らないうちに中学校の時点で学んでいます。中学理科で登場した「力の合成」と「力の分解」が、まさにベクトルの足し算引き算なのです。
ベクトルの足し算の本質は、「スタートとゴールを最初に決めて、それを途中駅までのたくさんの矢印で繋いでいく」ということなのです。
11. ベクトルの内積 数C 難易度★★
ここでは「内積」と呼ばれる、ベクトルの「掛け算」のようなものを定義します。これを定義することで、この後の内容の見通しが非常に良くなります。
実は、物理で習う「仕事」と非常に深い関係があります。
12. 位置ベクトル/1次独立 数C 難易度★★★★
位置ベクトルとは誤解を恐れずに言えば「座標」と同じものです。ベクトルの知識を使って図形の各点の「座標」を調べていこうというのがこの単元です。この知識があることで図形問題が驚くほど効率よく解けるようになり、先述の「内分点・外分点の座標」の公式も、自然なものとしてスッキリ頭に入ってくるようになります。
また、この単元の過程で登場する「1次独立」という概念は、大学で学ぶ「線形代数」の基礎をなす重要な概念だったりします。
13. 平面図形・空間図形へのベクトルの応用 数C 難易度★★★★
ベクトルを図形問題に応用していきます。平面図形は然ることながら、特に今まで対処が難しかった空間図形を考えるときにベクトルは絶大な効果を発揮します。特に、線分の長さの比や、平面の式などに対してベクトルは非常に強い武器となります。是非、様々な問題を通じてこの威力を実感してみて下さい。
14. 2次曲線 数C 難易度★★★★
2次式の方程式で表現できる図形を2次曲線といい、具体的には放物線、楕円、双曲線の3種類があります。この単元ではこれらの性質について学んでいきます。焦点や準線というキーワードの扱いに慣れるのに時間がかかり、「極座標」という新しい点の位置の表し方も習うため、意外と内容が盛りだくさんです。
この単元を学ぶことで、アンテナがなぜ放物線の形状なのかを知ることができ、物理の「万有引力」の理解もより深まるでしょう。
15. 複素平面 数C 難易度★★★★★
高校で学ぶ図形問題に対する最後の道具が、この「複素平面」です。複素平面とは、「複素数」をプロットする方法であり、いわば「複素数の力で図形問題に対処する」方法を学ぶのがこの単元です。
今まで習った実数の世界の方程式とは関連がありつつも似ても似つかない式がたくさん出てくるので、最初はかなり面食らってしまうと思います。ただ、ベクトルの知識がかなり理解の手助けとなってくれるはずです。ベクトルが苦手とする「回転」に対処するのに、複素平面は非常に強力な武器となります。
[Ⅲ]確率統計分野
1. 箱ひげ線図 数Ⅰ 難易度★ ※中学校の復習
高校最初の統計分野は、中学校の復習「箱ひげ線図」です。中学校の時点で理解が不十分だった人は、ここでしっかり復習しておきましょう。
2. 分散・標準偏差 数Ⅰ 難易度★★
ここから、高校からの新規の内容となります。
データのバラツキ度合いを調べる方法には、先述の箱ひげ線図が一例としてありましたが、もう1つの方法こそがこの分散/標準偏差であり、以降はこちらの方法が主流となります。
皆さんが普段から悩まされている「偏差値」は、この標準偏差を用いて計算されます。
3. 散布図・相関係数 数Ⅰ 難易度★★
2種類の軸を持つデータをグラフにプロットしたものが散布図ですが、散布図からどの程度2つの軸に相関があるかを調べる指標が「相関係数」です。例えば、横軸にその日の「風量」を、縦軸にその日の桶の「売上」をプロットした時、データがおよそ右肩上がりの直線に近ければ、その2つの指標には「正の相関がある」ということになります。
しかし、注意しないといけないのは、上記の「風が吹けば桶屋が儲かる」の諺よろしく、「相関関係があるからといって因果関係があるとは限らない」という点です。
4. 場合の数 数A 難易度★★★★
中学校の時点で登場している話ではありますが、ここではより複雑な状況で場合の数を数え上げる方法、より効率よく数え上げる方法を多数学んでいくことになります。
順列、円順列、数珠順列、同じものを含んだ順列、組合せ、重複組合せなどシチュエーションは多数登場しますが、それぞれに対応する公式が「どうしてそうなるのか?」を理解していないと途端に崩れてしまいます。またPやCといった便利な記号が登場するあまり、何でもかんでもPやCと絡めて計算しなければならないという錯覚にも陥りがちです。まさにAstraが追及する「本質的な理解」が大きく問われる単元だと言えます。
5. 確率 数A 難易度★★★
基本的には中学のとき同様に場合の数をベースにして確率を計算していきますが、効率化のために確率独自の公式がいくつか登場してきます。結局はここでも「どうしてそうなるのか?」の理解が不可欠になってきます。
6. 条件付確率 数A 難易度★★★★
「Aが起こったという世界線で、Bが起こる確率」というのが条件付確率です。これと「Aが起こりかつBが起こる確率」をきちんと区別できるか否かが、大きく明暗を分けます。
具体例を挙げると、「PCR検査で陽性が出たとして、そのとき本当に感染している確率」と、「PCR検査で陽性となり、かつ感染している確率」は全くの別物です。
この条件付確率にまつわる定理に「ベイズの定理」というものがあり、実は現在のAIの基礎を作っている非常に重要な定理だったりします。
7. 確率分布 数B 難易度★★★★
コインの表裏や、サイコロの目のようなものを「確率変数」と呼び、確率を「確率変数の関数」として整理したものが「確率分布」です。例えば、100回コインを投げてそのうちn回表が出る確率P(n)が、「2項分布」と呼ばれる確率分布の一例です。
確率分布の考え方から、統計データと同じように確率変数の「平均値」「分散」という概念が生まれ、特に前者は「期待値」とも呼ばれ、ギャンブルなどではお馴染みの概念になっています。
2項分布の期待値、分散には公式が存在しますが、これを導出するには、「数列」で習うΣ記号の知識がないと厳しいと思います。
なお、ここでは「今日の最高気温が20~25℃になる確率」といった、飛び飛びではない連続した量に対する確率も新しく登場し、確率計算に「積分」が登場します。少なくない生徒さんが、数Ⅱで積分を習う前に統計の方で積分に出会うことになります。
8. 正規分布 数B 難易度★★★★
統計の分野で最も重要な確率分布である、「正規分布」について学びます。どういう式で書かれるかの詳細は大学へ持ち越しですが(ネイピア数eが登場します)、ここでは「正規分布表」の使い方を中心に習います。
特に、正規分布表に使われるの、「平均0, 分散1の正規分布」=「標準正規分布」なので、扱いたい確率変数を標準正規分布に適した形に変換する「標準化」の作業が必要になり、ここの理解が難所となります。
9. 区間推定 数B 難易度★★★★★★
ここからは本格的な統計学のお話となり、かなり難しいです。私が高校生だった頃は、大学生になって初めて履修するような内容だったのですから、当然と言えば当然です。
区間推定とは、例えばこんな問題のことです。
「○○高校の2年生男子20人を無作為に選んで身長を調べたら、平均170cm, 標準偏差5cmだった。このとき、日本全国の高2男子の平均身長はどの範囲にあると言えるか?」
考え方のお作法からして初学者には難解で、この範囲が定期テストになった場合大概平均点は壊滅的になります。
とはいえ、共通テストでは統計分野は選択問題で避けやすく、私大や国公立2次でも統計分野の出題は極めてまれなので、できなかったからと言ってあまり思い悩む必要はありません。どうせ大学で再度習い直すので、その時に改めて理解できればOKです。
10. 仮説検定 数B 難易度★★★★★★
こちらも統計学の本丸の内容で難しいです。
仮説検定は、例えばこんな感じの問題です。
「ラベルに400ml入りと書かれている飲料水について、最近量が減ったと感じて10本分入っている料を調べたところ、平均390ml, 標準偏差5mlだった。このとき、本当に飲料水の中身は『減った』と判断してよいか?」
帰無仮説、対立仮説といった新しい概念も登場し、例によって考え方のお作法が難解です。
[Ⅳ]数の分類
1. 実数 数Ⅰ 難易度★★
ここでは、有理数、無理数の区別について、そして有理数ならば「無限小数を分数に直す方法」、無理数ならば「整数部分、小数部分」に関して学んでいきます。
前者はひょっとしたら小学校や中学校で聞いたことのある人がいるかもしれませんね。
2. 複素数 数Ⅰ 難易度★★★
2次方程式には「解なし」というタイプのものがありました。このタイプの方程式を無理やりにでも解くために発明されたのが、「2乗するとマイナスになる数」、つまり虚数です。この単元では、そんな虚数に関する各種計算について学びます。(実数と虚数を合わせて、複素数と呼びます)
この時点では、虚数を何のために勉強するのか意義を感じることは難しいと思います。しかし、実はこの世の中は虚数なしでは成り立たないことが、後からの学びで次々と分かっていきます。
例を挙げれば、高校の範囲の「複素平面」がまさにそうですし、物理の世界でも「単振動」や「電磁波」といった振動現象の背後に虚数が隠れていたり、ミクロな世界を扱う物理「量子力学」の方程式である「シュレディンガー方程式」では露骨に虚数iが登場したりします。極めつけには、計算困難な積分を複素数の力を借りて計算していく「留数定理」という魔法の定理を大学で習ったりします。
3. 素因数分解/最小公倍数/最大公約数 数A 難易度★★
ここからは、整数にまつわる話が続きます。
中1の冒頭でちらっと登場した「素因数分解」について改めて復習し、素因数分解を利用して2つの整数の最小公倍数・最大公約数を調べる方法などを学びます。「互いに素」という概念もここで登場します。
素因数分解の元となる「素数」というのものは、非常に奥の深い深淵な数であり、「リーマン予想」などの多くの数学の未解決問題がこの素数にまつわるものとなっています。
4. ユークリッドの互除法/1次不定方程式 数A 難易度★★★★
割り算の商と余りを利用して最大公約数を調べる方法が「ユークリッドの互除法」です。こちらは慣れてしまえば十分使いこなせるようになるでしょう。
一方、このユークリッドの互除法を利用して、例えば「49x+121y=1を満たす整数x,yを求めよ」なんていう問題に対処できるようになります。このタイプの方程式を「1次不定方程式」と呼びます。ただ、ユークリッドの互除法の使い方に工夫が必要で、ここが難所となります。
5. n進法 数A 難易度★★★★
コンピュータでは2進法が使われている、というのは聞いたことがあると思います。今まで使い慣れてきた整数の表記方法は10進法なのですが、10進法で書かれた数を2進法などに変換したり、逆に〇進法で書かれた数を10進法に戻したり別の△進法に直す、といった作業をここでは学びます。
普段あまりに10進法に慣れているだけに、頭が混乱してくること必至です。この単元のコツは、常に「使い慣れた10進法をベースにして考えること」です。
ここまで整数分野の単元を見てきましたが、整数問題の対処法は、それこそ100個問題があれば100通りの解き方があると言えるほど多種多様です。ベースの考え方を押さえたらあとは各個撃破するしかありません。
整数については教科書が済んだら、大学の過去問集や数検の問題にいきなり取り組んでしまった方が実践的だと言えます。
[Ⅴ]論理
1. 集合 数Ⅰ 難易度★★★
集合という概念について学びます。2つ以上集合があった時のダブった部分である「積集合」、いずれかにさえ入っていればいい「和集合」、といった感覚に慣れていくことが主題であり、数学の命題でよく出てくる「または」とか「かつ」とかの中身を正確に理解できるようになることが目標となります。とにかく具体例を使って慣れていくことこそが近道です。
2. 命題の真偽 数Ⅰ 難易度★★★★
数学の主張が「正しい」か「誤り」かを判定するお作法を学びます。「正しい」と思うならその証明を準備する、「誤り」と思うなら例外を一つでも見つけてくる、というのが基本方針です。
と、言葉でいうのは簡単ですが、実際にやろうとするとアイデアが必要で大変です。
3. 十分条件/必要条件 数Ⅰ 難易度★★★★
数学で登場する「条件」について深堀をします。
「カエルが両生類だと言えさえすれば、カエルは脊椎動物だと言えるよね」という場合の「カエルが両生類」という条件が十分条件、「カエルが両生類だというためには、カエルは脊椎動物だと言えないといけない」という場合の「カエルは脊椎動物」という条件が必要条件です。この両者の区別ができるようになるには頭の体操が必要であり、習得に時間がかかります。
(Q.上の文章の「頭の体操」は十分条件、必要条件のどちらですか?)
4. 背理法 数Ⅰ 難易度★★
「○○でない」ことを証明するには、「○○だと仮定すると矛盾してしまう」ことが言えればいい、という論法が「背理法」です。特に「√2が無理数であることを証明せよ」というのが有名な例です。
5. 数学的帰納法 数B 難易度★★★
いわゆる「ドミノ倒し」の論法で、「最初の1本が倒れる」と、「あるドミノが倒れれば、次のドミノが倒れる」の2つが言えれば、「全てのドミノが倒れる」ことが証明できる、というお話です。
基本的には、「数列」で登場する「漸化式」をベースに証明を組み立てていくことになりますが、不等式が絡むと途端に難しくなりがちです。
[Ⅵ]数列
1. 等差数列/等比数列 数B 難易度★★
等差数列と等比数列という最も基本的な数列をベースに、n番目の数字が名になるかを表す「一般項」を求めていくことを学びます。この時点ではあまり難しくないと思います。
2. 数列の和 数B 難易度★★★
数列のn番目までの和について学びます。ここで登場する和の記号Σは数学のいたるところで顔を出すので、この記号の仕組みはしっかり押さえていきたいところです。また、2乗のシグマの式までは空で書けるようになっていることが理想です。
3. 階差数列 数B 難易度★★★
前後の差を取ると特定の規則性を持った数列になっている場合について学びます。とにかく、番号のずれが起こりやすいので要注意です。
4. 群数列 数B 難易度★★★★
ある数列を特定の部分で区切って考えたものが群数列です。「全体で最初から何番目」という視点と、「いくつ目のグループで、そのグループの中で何番目」という2つの視点を行き来する必要があるというのが、この単元が難所たる所以です。
ただ、ここが分からなくても先には問題なく進めるので、一旦後回しにしても大丈夫です。
5. 漸化式 数B 難易度★★★
数列の「一般項」以外のもう一つの表し方が、前後の項との関係式「漸化式」です。フィボナッチ数列のように、一般項は複雑だが漸化式だと単純明快で性質が分かりやすい、というタイプの数列もありますし、何よりプログラミングの基礎となる考え方こそが、この漸化式です。
この単元では基本的に、漸化式で書かれた数列について、何かしらの方法で一般項を調べるというのが主な内容となります。ものによっては、試行錯誤が必要な漸化式もあり、一筋縄にはいきません。
6. 数列の極限 数Ⅲ 難易度★★
数列について、∞番目まで飛んでいった先がどうなるかについて考察していきます。関数の極限よりも先に習う場合が多く、ここで「収束」「発散」といった概念を学ぶことになります。ここまでの数列の内容が理解できていればさほど難しくありませんが、∞-∞、0/0, ∞/∞といった不定形には要注意です。




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