top of page
検索

高校物理 単元解説

11 時間前
読了時間: 22分

高校物理は、大きく「力学」、「熱力学」、「波動」、「電磁気学」「原子分野」の5ジャンルに分けられるので、それぞれについて説明していきます。

 

※難易度は、学習内容の抽象度、必要となる前提知識、つまずきやすさなどを踏まえたAstra独自の目安です。実際の得意・不得意には個人差があります。

※(基礎)は、物理基礎で履修する単元です。

 


[Ⅰ]力学



1. 等加速度直線運動 (基礎)難易度★★


物体の運動の仕方について、中学の内容からさらに深堀って学びます。「速度の変化」を「加速度」として改めて学習し、速度と加速度が、大きさだけでなく向きも持つ量である「ベクトル」であることを学習します。初速度の違いによって、「等速直線運動」、「自由落下」、「鉛直投げ上げ」の3シチュエーションが主に取り上げられることになります。

 

物理の基礎の中の基礎なので、時間をかけてでもしっかりマスターするようにしましょう。後に数学で「微分積分」を学ぶと、より深く内容が理解できるようになるはずです。



2. 相対速度 (基礎)難易度★★


「○○から見たときの△△の速度」というのが相対速度です。相手の速度から自分の速度を引き算するのが基本ではありますが、視点の切り替えに少々苦労するかもしれません。



3. 力のつり合い (基礎)難易度★★★


物体が動かない、または等速直線運動するとき、物体に働く力は釣り合っています。つり合いに関与する力として、「垂直抗力」「摩擦力」「張力」「弾性力」といったものが登場してきます。難所は、摩擦力の扱い方、そして特に斜面上に物体がある状況で力を「斜面に垂直な方向」と「斜面に平行な方向」に分解する方法です。ここで、数学で習う「三角比」が先行登場してくることになり、三角比の理解に最初は苦労するでしょう。

そして、液体や気体の中で、押しのけた液体・気体の質量の重力だけ上向きの力を受ける「浮力」という概念も登場します。



4. モーメントのつり合い (基礎)難易度★★


いわゆる「てこの原理」の一般化が「力のモーメント」というもので、物体の回転を扱う時に登場する概念です。というわけで、てこの原理を思い出せればあまり苦労はしないはずですが、摩擦力や垂直抗力なども考慮に入れる必要があることに注意です。また、「重心」の概念も初登場します。

 

物体の回転に関するより詳細なことは、大学までお預けとなります。一応キーワードだけ先出しすると、「慣性モーメント」や「角運動量」といったものになります。



5. 運動方程式 (基礎)難易度★★★


ニュートンが発見した物理学で最も重要な基礎法則の一つが「運動方程式F=ma」であり、その心は、「物体の受ける力と物体の加速度はベクトルとして比例し、比例係数は物体の質量である」というもの。

 

この法則から「力が0=加速度が0→物体は静止or等速直線運動」が言えますし、大学範囲にはなってしまいますが、後述の「力学的エネルギー保存則」や「運動量保存則」も導くことができます。

 

高校範囲においては、各物体について働いている力を調べて運動方程式を立て、それらを連立することで加速度や未知の力を解明していく、という流れが基本となります。

 

極端な話、運動方程式さえ解ければ物体の運動を解き明かすことができるのですが、以後、より効率的に運動を解き明かす便利な道具として、「力学的エネルギー保存則」と「運動量保存則」という2つが登場していきます。



6. 仕事/力学的エネルギー保存則 (基礎)難易度★★★


中学でも登場した「仕事」を深堀し、関連して「力学的エネルギー」について詳細を学びます。

中学で習った通り、物理でいう「仕事」とは「物体が動いた方向の力の大きさ×物体が動いた距離」であり、これは実は物体に与える「エネルギー」と本質的に同じものなのです。

 

「力学的エネルギー」は大きく「運動エネルギー」と「位置エネルギー」の2種類に分けられますが、ある特定の力(重力や弾性力など)が働く環境では、物体が運動するときこの2つを互いに行き来しエネルギーの合計が変化しない、というのが「力学的エネルギー保存則」です。摩擦力や空気抵抗など、この特定の力に該当しない力を受けると、その力がする仕事の分だけエネルギーの合計は目減りしていきます。

 

今考えている状況が、「力学的エネルギー保存則」を使ってもいい状況なのかをしっかり見極めてあげれば、これ以上なく物体の運動を考える上で便利な道具となります。



7. 力積/運動量保存則 難易度★★★


主に物体の衝突や分裂を考えるときに威力を発揮するのが、この「運動量保存則」です。考え方のベースに、「作用・反作用の法則」があり、そこから導くことができます。「力積」は、エネルギーの世界でいう「仕事」に対応する量で、「力×力を受ける時間」で定義されます。

 

衝突などが絡む現象では、基本的に「運動量保存則」で式を立て、さらに「力学的エネルギー」で式をを立て、それらを連立する、という流れがメジャーとなっていきます。「跳ねかえり係数」の扱いに最初は苦労するでしょうが、慣れてしまえばワンパターンです。



8. 慣性力 難易度★★★


電車やバスに乗っている時、急ブレーキがかかると前につんのめり、発進するとき後ろにつんのめりますよね。同じようにエレベーターに乗っている時、上に動き始めると下に引っ張られるように感じて、下に動き始めると体が少し浮いたように感じますよね。このように、加速度運動する物体の中にいるときに感じる「力」を、「慣性力」といいます。

 

慣性力は外から見る場合には出現せず、中から見た時だけ出現する「見かけの力」であることに要注意です。いわば、物体を止めて考えやすくする代償として出現する力が慣性力だと言えます。

 

皆さんにとってなじみ深い「遠心力」が、実はこの「慣性力」の一種なのです。そのあたりの話はこの後の「円運動」で出てきます。



9. 円運動 難易度★★★★


今までは直線上の運動しか考えてきませんでしたが、今度はカーブを描く運動「円運動」について考えていきます。円運動の原動力が回転中心方向に向かう「向心力」であり、この向心力が円運動している人から見ると「遠心力」という慣性力になる、というカラクリなのです。向心力は運動方向と常に垂直なので仕事をせず、力学的エネルギー保存則が成り立ってくれるというのが大きなポイントです。

 

円運動を考える場合、「途中で糸が緩む」「ループ途中で地面から離れる」といった現象がでてくるので、今までの「力学的エネルギー保存則」だけでは運動の分析には不十分になってくるのが厄介な点です。

 

また、向心力の公式が中々に覚えにくい所も厄介な点ですが、実は数学で習う「三角関数の微分」と、先の「運動方程式」を理解していると、しっかり導出することができます。ちなみに、この単元で登場する「角速度」の単位は、「ラジアン」です。



10. 単振動 難易度★★★★★★


力学分野のラスボスと言える単元です。周期が一定の振動を「単振動」と呼びますが、これは円運動を影に映した運動であり、必然的に円運動と密接に関係しています。

 

振幅、振動中心、速さ、周期など、様々な要素を考慮しなければなりませんが、本質的に単振動の運動方程式は全て、F=-kx=maの形で書くことができます。なので、運動方程式を立ててこの形に持っていくことを目標にするだけでも大分見通しが良くなります。

 

単振動における加速度や速度は三角関数の形で書けるため、必然的に三角関数の微分積分の知識が必要不可欠になってきます。単振動の問題に挑む場合は、先に数学でこの単元に触れておくとよいと思います。



11. 万有引力 難易度★★★★


力学分野の大トリは、ついに宇宙に話が広がります。万有引力による位置エネルギーの式こそ最初は面食らいますが、衛星が地球の周りを回っていられる最低の速度「第一宇宙速度」、物体が地球の重力を脱出するために必要な最低速度「第二宇宙速度」は、ともにこれまでに既出の概念で十分に理解することができます。位置エネルギーの式も、数Ⅲの微分積分を知っていれば容易に導出できます。

ケプラーの法則は少々覚えにくいですが、詳しくは大学で導出含めて習うので、高校時点では完璧でなくても大丈夫です。



 

[Ⅱ]熱力学



1. 比熱/熱容量 (基礎)難易度★★


物体の温まりやすさを表す量が比熱、熱容量です。2つの物体を接触させたときには最終的に同じ温度になりますが、その際にどれだけの熱を互いに交換し合っているかを丹念に追いかけていければ十分でしょう。



2. 気体の状態方程式 (基礎)難易度★★★


気体の圧力、温度、体積の関係をまとめた方程式が「状態方程式」で、化学でも登場します。他にも「モル」など化学でお馴染みの概念も少し顔を出します。物理の分野では、話を簡単にするために希ガスなどの「単原子分子」の気体を扱うことがほとんどです。

 


3. 熱力学第一法則 (基礎)難易度★★★★


熱版「エネルギー保存則」が熱力学第一法則で、「気体に与えられた熱が、気体の内部エネルギーの変化と、外部へする仕事に使われる」というのがその内容になります。

 

内部エネルギーは気体の温度と直結し、外部へする仕事は言い換えれば気体の膨張です。このことをまずはしっかり押さえておきましょう。そして、気体の場合、膨張という固体の時には無視できた要素が入るため、体積一定での比熱と、圧力一定での比熱が異なってくることに注意する必要があります。



4. 熱機関 (基礎)難易度★★★★★


熱力学分野のゴール地点です。気体が様々な条件での状態変化を経て元の状態に戻る(熱サイクル)とき、トータルでどれだけの仕事をしたか、を考えていきます。要するに、車のエンジンのようなものをモデル化した状況を考えるわけです。

 

状態変化には、定積過程・定圧過程・定温過程・断熱過程の4種類があり、それぞれで熱の授受、仕事、内部エネルギーの変化がどうなるかを丹念に追っていく必要があり、大変です。

 

投じた熱量に対するトータルでした仕事の割合が「熱効率」であり、どれだけエネルギーを無駄にしないかを測ることができます。


 

[Ⅲ]波動



1. 波を特徴付ける量(振動数/波長/速さ/周期) (基礎)難易度★★


まずは波の基礎知識のおさらいです。多くのことは中学の時点で登場しているため復習の要素が強いです。強いて言えば「波長」が初登場の概念でしょうか。「速さ=振動数×波長」という関係を今後何度も使用していきますが、これを理解するのに少し苦労するかもしれません。

 

また波のグラフの読み取りは、少し横にずらすと様子が見えてきます。



2. 波の反射/重ね合わせの原理 (基礎)難易度★★★


波が重なると、各場所で振幅が符号込みで足し算された波になる、というのが「重ね合わせの原理」です。これにより、波が強め合う場所と弱め合う場所が出現するというのがミソであり、反射による重ね合わせで進行することなくその場所で振動し続ける「定常波」が出来上がるというのも大事な要素です。反射する部分が自由に振動する「自由端」と固定されている「固定端」とで反射のされ方が変わってくることに要注意です。



3. 共鳴/うなり (基礎)難易度★★★


ここからは「音」に関する話題が続きます。この単元では、共鳴によって音が鳴る仕組みについて学びます。基本的には管楽器の原理、つまり柱の中で定常波ができる、という話題が中心です。柱の中に波長がいくつ入るかに注目していくのがポイントとなります。弦楽器の原理も出てきますが、基本的な考え方は全く同じです。


「うなり」は、少し振動数がズレた2つの音が重なることで「うわんうわん」と音の強弱が生まれる現象です。



4. ドップラー効果 難易度★★★★★


救急車が通り過ぎるとサイレンの音が低く聞こえるようになる、あの現象が「ドップラー効果」です。物体の運動とは異なり、発信源の運動とは関係なく音が音速で進むことが原因で起こる、波特有の現象です。実は、野球の球速はドップラー効果を利用して測定されていますし、星の動く速さも光のドップラー効果を利用して測定されている、というかなり実社会で役に立っている現象でもあります。

 

波動分野最大の難所の1つで、発信源が動いている場合と、観測者側が動いている場合とで状況が変わり、振動数の変化の式も変わってくることが非常に厄介です。音が反射することで立場が入れ替わる現象が加われば尚更です。



5. 屈折の法則 難易度★★★


続いて「光」に関する話題です。この単元では、中学の時に出てきた「屈折」を深堀します。屈折は、物体の中で光の速度が遅くなることで起こる現象であり、そのことを理解すると「屈折の法則」が理解しやすくなります。なお、振動数は屈折前後で変わらないことに注意が必要です。

 

また、「光路長」という概念が登場し、後述の「干渉」を考える際に注意しなければならない要素になってきます。



6. 凸レンズ・凹レンズ 難易度★★★


中学理科でお馴染みのレンズについて振り返ります。中学では凸レンズを1個だけ使う状況しか考えませんでしたが、高校では凸レンズを2個以上使うケースや、凹レンズを使う状況も考えていきます。

ただ、いずれの場合も、「マイナスの長さ」や「マイナスの焦点距離」まで拡張することで一本の公式でまとめられるが凄いことです。



7. 波の干渉 難易度★★★★★


ドップラー効果と双璧を成す、波動分野のラスボスです。

 

先述のように、2つの波が重なり合うと強め合う個所と弱め合う個所が出来上がるわけですが、山同士が重なれば強め合い、山と谷が重なれば弱め合います。2つの波の山がやってくるタイミングの違いを「位相差」と呼びますが、振動のタイミングがあっている(位相が揃っている)状況では、波の経路の差が波長の整数倍なら強め合いますし、波長の半整数倍なら弱め合う、という事になります。位相が半分ズレていれば逆になります。この性質を利用して、強め合う場所と弱め合う場所を調べるのがこの単元の主目的になります。

 

光の場合、屈折率の小さい場所から大きい場所に光が進むときに位相が反転するというのが厄介な要素ですし、さらに光の経路の途中に部分的にレンズなどを挟むと、単純な経路長ではなく、屈折率で補正した「光路長」で経路差を考えないと位相が揃わず狂ってしまう、というのも厄介な要素です。

 

なお、この強弱が交互にできる「干渉」という性質が波を特徴付ける最たるものなのですが、波ではなく粒子であるはずの電子がこの性質を示すことが後年になって発見され、それが「量子力学」誕生のきっかけの一つになります。詳細は原子分野で触れることになります。



 

[Ⅳ]電磁気学



1. クーロンの法則 難易度★★


電荷をもった物体が互いに及ぼす力が「クーロン力」であり、万有引力の式とよく似ています。なので、万有引力と関連付けるとスムーズに理解できると思います。複数の電荷から力を受ける場合は、ベクトルの足し算が必要になってきます。



2. 電場/電位 難易度★★★


重力の電気バージョンが電場、重力による位置エネルギーの電気バージョンが電位、という理解をすれば基本的に大丈夫です。但し、力を受ける電荷の量があって初めて「静電気力」「位置エネルギー」となることには注意が必要です。



3. コンデンサー 難易度★★★★


金属の平板を向かい合わせにして電圧をかけると充電することができ、逆に回路につなぐと放電するという、いわば電池の役割をするのがコンデンサーです。

 

まず、クーロン力は距離の2乗に反比例していたのに、コンデンサーの中の電場が一定になるというのが最初は理解しがたいと思います。これは、「電荷QからはQ本の電気力線が伸びていて、単位面積当たりの電気力線の本数が電場である」という理解をすることで自然に思えるようになります。これは「ガウスの法則」と呼ばれるものです。

 

そして、コンデンサーの中に金属や絶縁体を入れることでコンデンサーの容量がどれだけ変化するか?というのも重要であり、かつ厄介なテーマでもあります。「静電誘導」や「誘電分極」によって、コンデンサー内部の電場が一部歪められるというのが本質なのですが、理解するのに時間がかかるでしょう。また、孤立している部分は電荷の総量が不変、というのも重要な着眼点となります。



4. 抵抗率 (基礎)難易度★★


中学理科でお馴染みの「オームの法則」を深堀していきます。電気抵抗は、材質だけでなく形状によっても変化するのですが、形状によってどのように変化するのかをミクロな視点で見直していくのがこの単元の主題となります。



5. 直流回路 難易度★★★★


中学理科で苦労した人が多いだろう「電気回路」に関して、より一般的な状況について考察していきます。電池を複数の個所につないでみたり、スイッチをオンオフして流れ方を変えたり、ループが複数あったり、といった状況です。オームの法則を一般化させた「キルヒホッフの法則」を駆使して解き明かしていきます。キルヒホッフの法則は、簡単に言ってしまえば「各ループで電圧はアップダウンを繰り返して最終的には元の高さに戻ってくる」、「分岐と合流前後で電流の合計は一定で、途中で湧いたり漏れたりしない」という2つの法則であり、よくよく考えれば当たり前のことしか言っていません。



6. アンペールの法則 難易度★★


ここまでは電気に関する話しか登場しませんでしたが、ここからは磁場が絡んできます。最初に登場するのは、「電流が作る磁場」のお話です。電流の形状によって色々な公式が登場しますが、実用上は「直線電流が作る磁場」を知っていればほぼ大丈夫です。磁場の向きは中学でも使った「右ネジの法則」で割り出せます。

 

この公式は、「磁場を一周させると、そのループの中にある電流の大きさになる」という法則に基づいていて、「アンペールの法則」と呼ばれます。

 

なお、「磁場」という言葉には、「磁場の大きさH」と「磁束密度B」という2つの流儀・解釈がありますが、基本的に以降は後者だと思っておけば実用上問題ありません。



7. 電流が磁場から受ける力/ローレンツ力 難易度★★★★


電荷を持った物体は、電場だけでなく磁場からも影響を受けます。この磁場から受ける力が「ローレンツ力」であり、中学の時に散々使ったであろう「フレミングの左手の法則」の正体です。電流は電子の運動なのですから、ローレンツ力の効果により、磁場中にある電流も力を受けることになるわけです。

 

入試問題では、斜面上に磁場をかけた回路を設置し、その上で導線を動かす、というシチュエーションがよく登場します。なので、力学分野の知識も思い出す必要があります。



8. 電磁場中の荷電粒子の運動 難易度★★★★


電場と磁場の両方がかかった環境における、電荷をもった粒子の運動について考察していきます。

基本的には電場からは重力同様の「等加速度直線運動」が、磁場からはローレンツ力を向心力とする「等速円運動」が生じます。この両者を両方考えた上で運動を追いかけていく必要があります。

この運動を応用して、高磁場をかけることで粒子を光速近くまで加速する装置が「加速器」とよばれるもので、素粒子物理の実験で頻繁に使われます。



9. 電磁誘導 難易度★★★★★


中学で、「コイルに磁石を近づけたり遠ざけたりすると電流が流れる」という現象を習ったはずです。あれが「電磁誘導」と呼ばれる現象で、実際に発電に使われる基本原理です。

コイルは中を通る磁場の「変化」を嫌う性質があり、外から強制的に磁場を変化させられると、それを邪魔する磁場を発生するように電流を流します。より正確には、その電流を流すための電圧=起電力を発生させます。

問題としては、回路にかける磁場そのものの大きさを変化させたり、回路の面積を変化させて回路を貫く「磁束(=磁束密度×面積)」を変えたり、磁場のある場所ない場所を行き来させたりする、といったシチュエーションが登場します。いずれもどの向きに電流が流れるのかを丁寧に調べていく必要があります。



10. コイルのインダクタンス 難易度★★★★★


コイルはそれ自体がループをつくる回路になっていて電流を流すとループを貫く磁場を生じます。電流が変化するとその磁場も変化し、それによって電磁誘導が発生し起電力が生じます。

 

電流が変化した時、コイルに生じる起電力がどの程度になるかを測る尺度が、「自己インダクタンス」となります。また、コイルを複数並べたときに、片方のコイルの磁場がもう一方のコイルの誘導起電力にどの程度影響するかを測る尺度が「相互インダクタンス」と呼ばれるものになります。この性質を利用することで、回路の電圧を変える「変圧」ができるようになります。



11. 交流回路 難易度★★★★★★


電磁気学分野の総決算、かつ高校物理全体のラスボスと言っていい単元です。

 

これまでは、電圧が一定の電源を使った「直流回路」を扱いましたが、今度は電圧が周期的に変化する電源を使った「交流回路」について扱うわけです。

 

コンデンサーは最初こそ電圧0の抵抗の役割を果たしますが、最終的には満充電状態となって電流を流さなくなります。一方、コイルは逆に最初こそ誘導起電力の影響で電流を流しませんが、最終的には抵抗0の抵抗の役割を果たします。直流回路の場合は、このように最終的にはコンデンサーで遮断されることにより電流が流れなくなってしまいます。

 

しかし、交流回路の場合は、電源の電圧、そして電流自体が周期的に変化するので、コンデンサーやコイルがあっても半永久的に電流を流し続けることができ、上記の特性から、コンデンサーとコイルに関しては電圧と電流の間に位相差が生じることになります。この「位相の進み・遅れ」という要素、そして「抵抗」のような物理量である「インピーダンス」という概念こそが、交流回路の非常に厄介なポイントなのです。

 

いずれも丸暗記は非現実的であり、数学の「三角関数の微分積分」の助けなしにはほぼ理解不能になると言ってよいです。もっといえば、本来であれば「複素数」の知識まで考慮しなければ完全に理解することは困難な単元なのです。

 

高校範囲ではそんな深遠な世界のほんの一部だけを学ぶことになるわけですが、大学では「ラプラス変換」という最強の武器を学ぶことで交流回路の解析が格段にしやすくなるので、楽しみに待っていて下さい。


 


[Ⅴ]原子分野



1. 光電効果 難易度★★★


ここまで習ってきた物理は「古典物理」と呼ばれています。身の回りの大抵の現象はこれで説明がついたのですが、科学が進展する中で古典物理だけでは説明しきれない現象が数々発見され新しい物理学を作る必要が出てきました。この単元からは、そんな新しい物理である「量子力学」と「相対性理論」の一端を学んでいくことになります。

 

「量子力学」とはミクロな世界における物理学であり、ニュートンの力学では到底考えられないような現象が多数登場します。

 

この単元で習う「光電効果」がまさにその一つであり、あのアインシュタインによって発見されました。実は、アインシュタインは「相対性理論」ではなく「光電効果」の業績でノーベル賞を受賞した、というのは有名な話です。

 

光電効果とは「金属に光をあてると電子が飛び出す」という現象で、光を強めると電子の速度が上がるのでなく飛び出す電子の個数が増える、というのが大きな特徴です。これは「光=波」と考える限り説明がつかない現象であり、この光電効果によって「光は波であると同時に、粒子の性質も持っている」ことが実証されたわけです。

 

この単元では、「プランク定数」という量子力学で最も重要な物理定数が登場し、光の粒子1個当たりのエネルギーがどの程度か、電子を掘り起こすのに必要なエネルギー(仕事関数)はどのくらいか、といったテーマがよく題材にされます。



2. コンプトン効果 難易度★★★


光が粒子の性質も持っていることを象徴するもう1つの現象が「コンプトン効果」です。光が粒子にぶつかると粒子共々進行方向が変わるわけですが、その際に波長が長くなるという現象です。

 

光がただの波であれば、進行方向が変わることは説明できても波長が変わることの説明ができませんが、光が粒子の性質を持っていると考えれば、ビリヤードと同じ状況になり、衝突前後で減速する(運動エネルギーが減る)ことは当たり前のことになるといいうわけです。

 

というわけで、こちらは力学の衝突の問題のとき同様、運動量保存則と力学的エネルギー保存則(弾性衝突だと仮定する)を組み合わせることで解いていくことになります。

 

この現象は実はとても身近な現象で、「空はどうして青いのか?」「夕焼けはどうして赤くなるのか?」と関連しています。



3. 物質波 難易度★★★★


ただの波と思われていた光は粒子の性質も持っていました。その逆も然りで、ただの粒子と思われていた電子は波の性質も持っています。電子に限らず物体は波の性質も併せ持っていて、これを「物質波(ド・ブロイ波)」と呼びます。

 

物体の質量が十分大きければ、物質波の波長はほぼ0となりほとんど認識できません。なので、私たちの身の回りの物体は波の性質が目立ちません。しかし電子レベルのミクロな粒子になると物質波の波長が無視できないレベルの大きさになり、波の性質が顕著に表れるようになってきます。

 

電子が波の性質を持っている証拠はいくつかあり、電子を連続してスリット目掛けて多数打ち込むと光と同じようにスクリーン上に干渉縞をつくる、というのがその1つです。

 

もう1つの証拠が、実は「原子核の周りを電子が周っている」という事実そのものです。古典電磁気学によると、電荷をもっている粒子が加速度運動すると電磁波を出してエネルギーを失っていきます。だとすると、電子はいずれ原子核にぶつかって吸収されてしまうはずです。しかし、現実には半径を保ちつつ回っていられています。

 

この事実を、「電子の物質波が円周上に定常波を作れる場所にしか電子は存在できない」という形で説明できるようになったのです。これが化学でお馴染みの「電子軌道」ができる理由です。

 

電子軌道の詳細(どうして8個で安定になるのか、など)は、大学で量子力学を学ぶことで解消されていきます。物体に色がついて見える理由も、実はこの電子軌道の話と深く関係しています。

 


4. 放射線/核崩壊 難易度★★


化学で「放射性同位体」という言葉を習いますが、この単元ではα線、β線、γ線といった放射線の詳細、そしてこれらの放射線を放出した後原子核がどのように変化するのかについて学びます。

「原子番号」「質量数」といった化学ではお馴染みの概念が登場するので、化学の復習の要素が強いです。



5. 核分裂/核融合 難易度★★★★


原子核同士が直接相互作用すると化学反応とは比較にならない莫大なエネルギーが発生します。この莫大なエネルギーを使って発電を行うのが「原子力発電」であり、武器にしてしまったのが「核兵器」です。その莫大のエネルギーの源が、実は「質量」なのです。

 

アインシュタインが構築した「相対性理論」の結論の一つに、「質量とエネルギーは等価である」というものがあり、皆さん一度は目にしたことがある公式E=mc^2はこの結論を数式にしたものです。

 

化学反応では「質量保存の法則」が成り立ち、化学反応の前後で物質の質量の合計は変わりませんでした。しかし、核反応の場合はこの法則が成り立たず、反応前の質量の一部が熱に変わってしまって反応後の質量は反応前よりもわずかに軽くなります。質量は僅かであっても、光速cの2乗という非常に大きな数が掛け算されることでエネルギーはとんでもない量になるのです。

 

この単元では、非常に小さい素粒子レベルの質量を扱うための「原子質量単位u」という単位が登場するとともに、これまた素粒子のエネルギーを表現するのに適した「eV」というエネルギーの単位が登場します。この単位換算が面倒でこの単元の難所となります。

 

なお、「相対性理論」は、「光速に近い速さで運動する人は時間の流れが遅れる」、「重力の影響で光が曲がる」、「重力の強い場所では時間の流れが遅れる」といった常識外れの結論が多数出てくる理論になっており、詳細は大学の理学部物理学科で学ぶことになります。

 
 
 

コメント


〒310-0064  
茨城県水戸市栄町1-11-29 助川ビル1F

受付時間:月〜金(祝日可) 13:00〜21:00

☎ 029-353-6195

✉ shinya-tada@schoolastra.com

SNSリンク

  • X
  • Instagram

Copyright© 2026 個別指導学院 Astra All Rights Reserved.

bottom of page