高校化学 単元解説
高校化学は、大きく「理論化学」、「無機化学」、「有機化学」の3ジャンルに分けられるので、それぞれについて説明していきます。
※難易度は、学習内容の抽象度、必要となる前提知識、つまずきやすさなどを踏まえたAstra独自の目安です。実際の得意・不得意には個人差があります。
※(基礎)は、化学基礎で履修する単元です。
[Ⅰ]理論化学
1. 混合物/化合物 (基礎)難易度★
異なる物質が単純に混ざっただけの混合物、異なる元素が化学反応で結合し1つの物質となった化合物、この2種の区別と、混合物を分離する方法を学んでいきます。
最初の単元なので難易度は低めですが、「塩酸」など、意外と混合物か化合物か紛らわしいものが紛れているので注意です。
また、同じ元素の単体なのに性質が異なる「同素体」についても登場します。
2. 原子構造 (基礎)難易度★
原子は、中心にある原子核と周りを回る電子から成り、原子核はプラスの電荷をもつ陽子と電荷を持たない中性子から成る、という話を学ぶ単元です。陽子の個数である「原子番号」、陽子と中性子の個数の合計である「質量数」はこの単元で登場し、同じ原子番号だが質量数が違う「同位体」という概念もここで登場します。
3. 電子配置 (基礎)難易度★★
化学反応を考える上で最も根幹にある「電子配置」について学びます。電子は太陽系の惑星のごとくいくつかの軌道を持っていて、一番内側は2個、それ以外の軌道は8個電子が入ることで安定になる、といった知識をここで習うことになり、合わせて「周期表」についても学びます。どうして8個で安定になるか、などのお話は大学で「量子力学」を学ぶことで初めて分かることになるので、一旦お預けです。
全ての化学反応は「最外殻の電子が8個になるように互いに電子をやりくりする営み」という理解で、とりあえず問題ありません。
4. イオン化エネルギー/電子親和力 (基礎)難易度★★★
中学で、「マグネシウム、亜鉛、銅だと、一番イオンになりやすいのがマグネシウムで、一番なりにくいのが銅」と習ったはずです。この話を一般化させたのが「イオン化エネルギー」です。これは最外殻の電子1個を捨てるのに必要なエネルギーであり、このエネルギーが小さいほど陽イオンになりやすいということになります。
それと対になるのが「電子親和力」というもので、これは電子を1個最外殻に受け入れることで放出されるエネルギーのことで、これが大きいほど陰イオンになりやすいということになります。
この2つのエネルギーが原子番号が進むにつれてどう変化していくのかを考察するのが、この単元のメインとなります。
5. 共有結合/イオン結合/金属結合/分子間力 (基礎)難易度★★★
化学反応とは「最外殻の電子が8個になるように互いに電子をやりくりする営み」でしたが、電子をやりくりする方法がいくつかあり、それが共有結合、イオン結合、金属結合といったものになります。これらの結合方法の違いによって、これらの物質は電気の通しやすさ、固さ脆さ、変形のしやすさ、などなど全く異なる性質を示すことになります。共有結合に関しては、最外殻の電子(価電子)を模擬した「電子式」を使って考察していきます。合わせて、物質の表現方法として「分子式」「組成式」「構造式」といった化学式の種類もここで学びます。
一方、共有結合で出来上がった分子同士が互いに引き合う力が分子間力(万有引力のようなもの)であり、電荷が絡まないファンデルワールス力と、電荷が絡む水素結合の2種類に分けられます。
特に後者の水素結合は、色々な意味で今後重要になってきます。
6. 分子の形状/極性 (基礎)難易度★★★
分子は、結合した原子と余った非共有電子対に応じて様々な形状を作ります。一方で原子の種類によって電子を引き付ける力(電気陰性度)に違いがあるため、共有された電子がより電気陰性度の強い原子に引き付けられ電荷の偏りが分子内に生じることになります。
形状と電荷の偏りによって、分子全体がプラスが強い部分とマイナスが強い部分に分かれる場合があり、そうした分子を「極性分子」と呼び、極性分子は偏った電荷同士が引き合い「水素結合」を生じることになります。これらの物質は総じて融点や沸点が高い傾向があり、同じ極性分子である水に溶けやすくなる傾向を示します。一方、電荷の偏りが分子全体の形状で上手くバランスして偏りがなくなった分子を「無極性分子」と呼び、総じて融点や沸点が低く、水に溶けにくい傾向があります。
7. 結晶構造 (基礎)難易度★★★★
ここでは、主に金属結晶やイオン結晶の構造について学びます。主に「体心立方格子」と「面心立方格子=六方細密構造」の2種類に分かれますが、それぞれについて、1つの原子に最も近い原子は何個あるか、1単位当たり何個の原子が入っているか、結局密度はどの程度になるのか、といった話題が出てきます。密度を計算する際は、中学数学で習った「三平方の定理」を何回も使うという空間図形の問題そのものの様相を呈することになるので、中学で空間図形の問題が苦手だった人はしっかり復習しておきましょう。
8. 相対質量 (基礎)難易度★★★
ここまでは化学反応や物質の構造そのものの基礎を見てきましたが、次は「物質の量をどう数えるか?」についてのお話になります。
その最初の単元は、「原子の質量」をどう見積もるか、という話題です。原子自体はとても小さな粒子ですので、質量もとてつもなく小さい量となり、そのままだと非常に扱いにくくなってしまいます。なので、化学の世界では、質量数12の炭素原子Cの質量を「12」とし、それと比べることで原子の質量を決めます。この考え方が「相対質量」と呼ばれるものです。同位体が存在する原子については、存在比率を加味した平均値で原子の質量を決めます。
こうして相対質量の考え方で決められた原子の質量を「原子量」、原子量を基に計算して求まる分子、イオン結晶の質量を「分子量」「式量」と呼ぶわけです。
同位体それぞれの相対質量と存在比率から原子量を求める流れが、初心者には難しく感じるかもしれません。
9. 物質量の計算 (基礎)難易度★★★★★
高校化学の最初の大きな難所です。
化学では物質を数える個数の単位として「モル」というものを用います。原子や分子はあまりにもサイズが小さくかつかつ数が膨大なので、これらの個数を直接数えることは非現実的です。なので、「アボガドロ定数個の粒子」を、まとめて「1モルの粒子」としてしまうのです。12個のチョコレートをまとめて「1ダースのチョコレート」と数えるのと同じ話です。単位をモルにして数えた物質の個数を「物質量」と呼びます。
そして、先述の「相対質量」は、実は「1モルの物質の質量が何gか」を表しているので、原子量・分子量・式量を使うことで、gとモルを自由に行き来できるようになります。この換算の仕方を習得するまでが非常に時間がかかりますし、今後の化学の問題は全てモルで物質の量を表現することになるので、モルで躓くと完全に詰んでしまうのです。
そしてもう1つ厄介なのは数字の煩雑さです。原子量などは原子の種類で完全に決まってしまうので、原子によってはかなり汚い数字になってしまいます。Hの1, Cの12,Oの16などは比較的扱いやすい数字ですが、Clは35.5という中々に汚い数字で、これを見ただけで掛け算や割り算をするのが億劫になる人がほとんどだと思います。先述の比較的綺麗な原子量の原子でも、分子として組み合わさると高確率で汚い数字になってしまいがちです。ちなみに今後も、標準状態の気体の1モル当たりの体積22.4L. 1モルの電子の電荷の量96500C(ファラデー定数)、気体定数8.3 (Pa・L/mol・K)など、汚い定数がわんさか登場します。
完全に計算結果の数値を有効数字含めて合わせ切ることまで追求すると苦手意識が強くなってしまうので、まずは「正しく計算式を立てられるようになる」ことを目標に頑張ることをお勧めします。最終的な数値計算は実務では電卓に任せればいい話なので、計算式を正しく組めることの方が本質です。
10. 化学反応式 (基礎)難易度★★★★
中学時点では丸暗記に近い形で覚えたであろう化学反応式を、今回はきちんと作り方から学びます。反応に関わる物質の化学式を正しく書いた上で、両者の原子の個数のつじつまを合わせるために「係数」を適切に付けていく、というのが大まかな流れです。
なお、この係数が、反応する物質の「モル数の比」に対応している、というのがかなり重要なポイントです。
さて、ここまでが化学全体の基礎のお話です。ここからは、いくつかの異なる話題について並列で学んでいくことになります。直列ではないので、どこかで詰んだとしてもその先に全く進めないという状態にはならず、その詰んだ単元だけ復習すれば問題ありません。
11. 酸塩基の定義/塩の種類 (基礎)難易度★★
酸性とアルカリ性に関するお話です。高校化学以降ではアルカリ性は「塩基性」と呼ばれることがほとんどになります。中学の時点では、「水素イオンを出す物質=酸性」、「水酸化物イオンを出す物質=アルカリ性」と習いましたが、高校ではより一般的な定義を学ぶことになります。具体的には、アルカリ性(塩基性)の定義が、「水素イオンを受け取る物質」に拡張されます。
また、イオン結合の物質(「塩」と呼びます)の種類と、水に溶かすと何性になるのかの判別方法も学びます。炭酸水素ナトリウムNaHCO3は、水素イオンを含むので「酸性塩」ですが、水に溶かすと「アルカリ性」というややこしい物質もあるので、注意が必要です。
12. 水素イオン濃度/pH (基礎)難易度★★
酸性/アルカリ性の強さは、その原因となる水素イオンの濃度で決まり、素イオンの濃度を表す指標としてpHが使われます。pHの定義は「水素イオン濃度の常用対数にマイナスをかけたもの」ということで、数学で習う「対数」が使われているので、事前に対数の計算方法を少し予習しておくとよいでしょう。
また、中学までで「リトマス紙」「BTB溶液」「フェノールフタレイン」といった酸性/アルカリ性/中性を判定する薬品(指示薬といいます)が出てきましたが、どのpHのときにどの指示薬を使えば適切か、といった話題も出てきます。
13. 中和滴定 (基礎)難易度★★★
酸性の薬品とアルカリ性の薬品を混ぜると中和が起きて中性になります。中性になるタイミングを調べることによって、それぞれの水溶液の濃度がいくらだったかを計算するのが中和滴定というものです。
基本については既に中学で習っているはずで、「水素イオンvs水酸化物イオンの戦争」なんでした。
水素イオンや水酸化物イオンの量がモルで扱われるというのが新規要素ですが、あまり難しくはないでしょう。ただし、pHが中和前後でどう変化するのかの見極めは少し慣れが必要です。
これにて酸アルカリの話題は終了です。
14. 酸化剤/還元剤 (基礎)難易度★★★★
中学でも少し出てきた「酸化還元反応」に関するお話です。中学時点では「酸素原子をやりとりする反応」として習ったと思いますが、実はもっと意味の広い反応です。
具体的には「原子が電子を受け取ったり失ったりする反応」が、酸化還元反応の定義であり、電子を失う反応が酸化、電子を受け取る反応が還元となります。
中和反応と比較すると電子のやり取りなので中身が見えづらくなりがちで、電子の増減を判別するために「酸化数」という概念が新しく登場します。ひょっとしたら硫酸銅(Ⅱ), 酸化鉄(Ⅲ)といったように物質の名前の後ろにローマ数字が付いたものを見たことがあるかもしれませんが、このローマ数字が金属元素の酸化数を表しています。
相手を酸化させ自らは還元される物質を「酸化剤」、相手を還元させ自らは酸化される物質を「還元剤」とよび、この単元では酸化数の計算方法や、主要な酸化剤と還元剤の反応式を学んでいくことになります。この反応式を覚えていくのが大変です。
15. 酸化還元滴定 (基礎)難易度★★★
中和滴定の酸化還元反応バージョンという認識で問題ありません。酸化剤と還元剤の反応式をベースにして両者の濃度を計算していくというもので、考え方は中和滴定とほぼ同じです。
16. 電池/電気分解 難易度★★★★★
酸化還元反応の最たる例が、実は中学でも習った電池/電気分解です。これらは電極同士で電子の放出と受け取りをしていたのですから、まさに酸化還元反応そのものになっています。
中学ではボルタ電池・ダニエル電池を習いましたが、高校では更に鉛蓄電池などの充電可能な「2次電池」についても学び、スマホなどでお馴染みのリチウムイオン電池などの話題も出てきます。
電気分解については、「水の電気分解でなぜ水酸化ナトリウムを溶かしておくのか?」という謎の伏線回収がなされます。いずれの場合についてもどちらがプラスかマイナスか、そして何がどう反応するか?をしっかり見極める必要があって、難しいです。
これにて酸化還元反応の話題は終了です。
17. 反応エンタルピー 難易度★★★★
化学反応で熱の出入りがどうなるかという話題です。熱を放出して温まる発熱反応と、熱を吸収して冷たくなる吸熱反応の2種類に分けられます。熱の出入りを理解するにあたって、「エンタルピー」という概念が重要になるのですが、これの理解が中々難しいと思います。
詳細は大学物理の「熱力学」で学ぶのですが、高校物理を習っている人であれば「位置エネルギー」と似たようなものだと考えると多少は理解しやすくなります。
重力であれば高いところから低い所へ物は落ちていきますが、これは位置エネルギーが大きい状態から小さい状態へ移っていくことに対応します。減った分の位置エネルギーは運動エネルギーに変わるんでした。化学反応では、エンタルピーが大きい状態から小さい状態に自発的に変化し、その際にエンタルピーの減少分が熱として放出されることになります。これが発熱反応です。
一方低い位置にあるものを高い位置に持っていくには、重力に逆らって「仕事」を加えないといけません。この仕事がそのまま位置エネルギーの増加分となります。同じように、化学反応ではエンタルピーが低い状態から高い状態に持っていくには、外から熱を加えてあげないといけないわけです。これが吸熱反応です。
この単元では、各反応のエンタルピー変化を利用して、特定の反応のエンタルピー変化がどうなるかを計算し、その反応が発熱反応なのか吸熱反応なのかを判別する、というのが主な主題となります。
18. 反応速度/活性化エネルギー 難易度★★★
化学反応が進んでいくスピードに関する話題です。このスピードの定義や、計算方法について学んでいきます。関連して、化学反応を速める「触媒」に関する話も出てきます。次の単元「化学平衡」の前段階となる単元といえます。
19. 化学平衡/ルシャトリエの原理 難易度★★★★
一般に化学反応は双方向に進んでいきます。一方のスピードが圧倒的に速くもう一方がほぼ進まない場合は「不可逆反応」となり、双方のスピードが同程度であれば「可逆反応」となります。
可逆反応の場合、双方が同程度のスピードで反応していくので、最終的に両者が釣り合って見かけ上反応が進んでいない状態になります。これが「化学平衡」という状態です。
そして、化学平衡の位置は移動させることができ、そのノウハウが「ルシャトリエの原理」と呼ばれるものです。ざっくりいえば、「外から強制的に加えた変化を解消する方向の反応のスピードが上がる」という内容です。例えば温度を強制的に上げた場合は温度が下がるように吸熱反応の方のスピードが上がる、特定の物質を強制的に増やした場合はその物質が消費される反応のスピードが上がる、といった具合です。この現象によって、なぜ「弱酸由来の塩がアルカリ性になり、逆に弱塩基由来の塩が酸性になるのか?」という疑問に説明が付くようになります。
問題としては、どういう強制変化を加えるとどの方向に平衡が移動するか、そして最終的な各物質の濃度がどうなるか、といった形が頻出します。この濃度の反応前後の変化を追いかける部分がこの単元の難所と言えると思います。
これにて「化学反応」に関する話題はお終いとなります。
20. 気体の状態方程式/分圧 難易度★★★
気体の圧力、温度、体積の間の関係式が「状態方程式」で、この式は物理の「熱力学」でも登場します。化学では、主に気体の混合物(混合気体)を扱うことが多く、各物質ごとの圧力である「分圧」で語ることが多いです。この「分圧」という考え方に慣れるのがこの単元の肝となります。
21. 物質の状態図/蒸気圧 難易度★★★
固体・液体・気体の状態変化、中でも液体と気体の間の変化を中心に学んでいきます。ある気体物質は、分圧が「飽和蒸気圧」に達するともはや全部が気体の状態ではいられず一部が液体となります。どの状態までは気体のままか、どの状態では気体と液体が共存するのか、を状態方程式を駆使して判断していくのがこの単元のハイライトです。
22. 気体の溶解度 難易度★★
酸素や窒素などほとんど水に溶けない気体も、高い圧力をかけると強制的に水に溶かされます。水に溶ける気体の物質量はその気体の分圧に比例するという「ヘンリーの法則」を学ぶのがこの単元となります。
23. 固体の溶解度 難易度★★★
中学でもお馴染みの「溶解度線図」が登場します。やる内容は中学とほぼ同じですが、水にほとんど溶けない物質について扱う「溶解度積」という概念が登場したり、硫酸銅などのように水分子と抱き合わせになる「水和物」という結晶を作る物質を扱ったりなど、面倒な要素も新登場します。
24. 凝固点降下、沸点上昇、浸透圧 難易度★★★★
固体の数溶液が持つ性質について学びます。
1つめの「凝固点降下」「沸点上昇」はその名の通り、純粋に比べると水溶液は凍る温度が下がり沸騰する温度が上がる現象です。とくに前者は雪国で散布される「融雪剤」の原理そのもので、塩化カルシウムを融雪剤として雪に溶かすことで凝固点を下げ、液体の状態に変えるという仕組みです。これらを考察するのに使われる濃度は、今までの「モル濃度」ではなく「質量モル濃度」であり、分母が「溶液の質量」ではなく「溶媒の質量」となることに要注意です。
2つ目の「浸透圧」は、濃度が違う2つの水溶液を膜を介して接触させると、濃度の薄い方から水が濃度の濃い方へ移動する、という現象です。ナメクジに塩を振りかけるとナメクジが干からびて死んでしまう、のはこの現象によるものです。正確には、こうして移動した水を元へ戻すのに必要な圧力のことを「浸透圧」と呼ぶのですが、これを利用して水溶液の濃度や溶質の分子量を測定します。この現象を扱う時の濃度は「水溶液に存在する粒子の濃度」となることに注意です。例えば1モルのNaclが1Lの水に溶けている場合は、実際に水中ではNaイオンとClイオンに電離し粒子数が元のNaciから2倍になっているので、「2 mol/L」を濃度としなければなりません。
25. コロイド 難易度★★★
ある程度大きい粒子が拡散している状態の混合物をコロイドと呼び、この単元ではコロイドの性質について学びます。牛乳や墨汁、霧などがコロイドの例です。
性質の例としてよく登場するのが、イオンを投入することで沈殿を起こす「透析」や「塩析」、光を当てるとその筋が見える「チンダル現象」、粒子が溶媒とぶつかることで不規則に動く「ブラウン運動」、そして電圧をかけると粒子が電極へ移動する「電気泳動」、あたりです。
[Ⅱ]無機化学
1. 金属元素 難易度★★★★
NaやKなどのアルカリ金属(1族), CaやMg, Baなどのアルカリ土類金属(2族)、Al・Zn・Sn・Pbといった酸にもアルカリにも溶ける両性金属、そしてFe, Cu, Agなどの遷移金属について、それぞれ性質を学んでいきます。
とにかく覚える内容が多く、特に遷移元素がイオンになった時の価数や色、各種イオンと反応してできる沈殿物の色、どの酸と不働態をつくって反応しにくくなるか、そして他の分子と結合してできる「錯イオン」が難所となります。
2. 金属イオンの定性分析 難易度★★★★★
前の単元で習った各金属の性質を利用し、複数の金属イオンが含まれた溶液にどの種類の金属イオンが実際に入っているかを判別していきます。
個々の反応だけでなく、加える試薬の順番によって反応する/しないが変わったりするので、どれだけ金属イオンの性質を知っているかが大きなカギになります。
3. 非金属元素 難易度★★★★★
続いて、F,Clなどのハロゲン(17族)、O,Sなどの16族、N,Pなどの15族、C、Siなどの14族、そして希ガス(18族)といった、主要な非金属元素の性質、そしてそれらの絡んだ主要な化学物質の製法について学びます。
こちらも暗記量が多く、特に製法の名前、使われる触媒、目的の物質、化学反応、の組み合わせを正確に把握しきるのは困難を極めます。
[Ⅲ]有機化学
1. 有機化学の基礎(炭化水素、官能基、異性体)難易度★★★★
有機化学は、ここまでの化学とはガラリと様相が変わります。
有機物は、基本的に4本の腕を持つCの骨格にHやOがくっついてく、という形態になっており、Cの骨格によって多種多様な物質が生まれていきます。よって、分子式は同じでも骨格が違うので性質が異なる「異性体」というものが生じるようになります。そして、「2重結合の部分で回転できないから異性体になる(幾何異性体)」、「鏡合わせで重ならないから異性体になる(鏡像異性体)※」といった幾何学の要素も色濃くなります。
そして、有機物の性質を大きく左右する要素として「官能基」というものが登場し、アルコール、アルデヒド、カルボン酸、ケトン、エーテル、といった様々な物質のカテゴリーが登場することになります。
新規に覚える要素が多い一方で、かなりパズルチックな要素が強く、これまで煩雑な計算と暗記に辟易としてきた皆さんにとっては、楽しく感じられる分野ではないかと思います。
※先日ノーベル化学賞を受賞した硤合憲三さんの研究は、この「鏡像異性体」に関わる内容で、ざっくり「一方の構造のみが生物に存在している理由は何か?」を解明するものでした。
2. 脂肪族化合物 難易度★★★★
有機物のうち、ベンゼン環を含まず単純な炭素骨格をもつものが「脂肪族化合物」です。ここで有機化学の基礎的なお作法はほぼマスターできますし、各カテゴリーの性質を多く学ぶことができます。
3. 芳香族化合物 難易度★★★★
ベンゼン環を含んだ有機物が「芳香族化合物」です。薬の構造式などでよく見かける六角形のアレがベンゼン環です。
芳香族特有のカテゴリーに「フェノール」があり、アルコールと同じ-OHという官能基でも若干性質が異なります。また、ベンゼン環のどの位置関係に官能基が付くか、という「オルト・メタ・パラ異性体」が登場します。
4. 有機化合物の系統分離/構造決定 難易度★★★★★
ここまでの内容を踏まえて、多数の有機物の混合物を分離していく、もしくは各種性質から分子式と構造式を決定していく、のがこの単元です。
前者については、溶媒として水とジエチルエーテル(要するに油)を用意して、片方にはよく解けるが片方には溶けにくい、という性質を利用して分離していきます。
後者は、まず完全燃焼させてできる水と二酸化炭素の量から組成式を決定し、浸透圧などを利用して分子式を求め、各種反応から構造式を決めていく、という推理小説のような作業となります。
難しくはありますが、パズルチックで結構やってみると楽しい作業ではないかと思います。
5. 天然高分子化合物 難易度★★★★★★
分子が多数つながって1つの巨大な分子になったものを「高分子」と呼びますが、この単元こそが高校化学のラスボスです。大きく生物など自然環境に存在する「天然高分子」と、人間の手によって発明された「合成高分子」の2種類に分かれます。
天然の方については、主に「単糖類」「アミノ酸」「ヌクレオチド」「油脂」、そして高分子になった「多糖類」「タンパク質」「DNA/RNA」について学びます。このように一気に生物色が濃くなります。
複雑で似たような構造式・名前の物質が多数登場し、覚えることが極めて難しく(糖類だと、グルコース、フルクトース、マルトース、セルロース、アミロースなど)、分解する酵素まで登場してきます(一例として「アミラーゼ」があります。どっかで聞いたことがあるのでは?)
アミノ酸については、アルカリ性を示す官能基アミノ基と酸性を示す官能基カルボキシ基が両方存在するため、プラスとマイナスの両方の電荷をもつ「双性イオン」の状態になりえてそうなるようなpH(等電点)が存在します。
6. 合成高分子化合物 難易度★★★★★★
続いて、人工物である「合成高分子」についてです。カテゴリーとしては「合成繊維」「熱可塑性樹脂」「熱硬化性樹脂」に分けられ、「ポリスチレン」「ポリエチレンテレフタラート(PET)」「ナイロン」「アクリル」などなど、物質の名前を聞くと身近な物質が多いです。
各物質がどんな構造になっているのか、化学反応させたときの量の関係からいくつの分子が重合しているのか、などの話が主になり、計算方面もしっかりと考えて挑まないといけません。




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